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『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

★★★★★
ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂作品はほぼ全て読んでいるので、本作もワクワクしながら読み始めた。
そして、続きが気になって頁をくくるうちに一気に読み終わってしまった。

結論からいうと、おもしろい。
引き込まれるストーリー、魅力的な登場人物。いつもの伊坂節は健在。

でも、他の伊坂作品とは別の読後感があった。
伊坂作品は、ストーリーは勧善懲悪、最後に伏線を一気に回収してすっきり爽快なエンドを迎えることが多い。
本作、「ゴールデンスランバー」は読み終わってかなりモヤモヤが残る。
まるで、戦いはこれからだ、と打ち切りになった少年漫画のようだ。

また、本作品は5部構成のうち、4部がメインとなる。
1〜3部は序章パートになるが、時系列がおもしろい。
読み進めるに連れてそのような構成にした意図がわかるが、この物語が長い闘いであること、そして敵があまりに巨大であることに、主人公に対する同情と哀感で胸がいっぱいになる。

時々、はさみこまれる大学時代の話が、もうあの時代に戻れないというノスタルジーを、そして時間が経っても変わらない友情を読者に強く印象づける役割を果たしている。
本作のテーマは「絆」であると思う。